私は女なので、それが官能における無理強いや、デートレイプだったとしても嫌悪感を覚える。ましてやゴーカンなど、萎えでしかない。まともな感性の女なら皆そうだろう。
 が、女性の中には、性的妄想と現実の好悪は必ずしも一致しない人がいて、絶対に無理強いできない私の描く高潔な殿方を「もっと強引にさせて欲しい・・・・」という人がいるのも事実。
 
 が、そんな私でも官能小説の中に、男の攻撃性故の血と暴力があると、話が引き締まるなあ、と思う。
 
 でもそれは、決して女に向けられるものじゃなくて(それじゃ単なるDV)、同性同士のもの。特に歴史物だと、下層階級の女性に関する話を書く場合は、男が守ろうとする中で筋肉的な強さや、暴力性を爆発させるのは官能のスパイスの一つですらある。かつて中産階級以下の女性へのレイプは一切犯罪ではなかったから、守るほうもある意味命がけで、その愛の切実さも増す。(つながる官能にも熱が入って当然というわけだ)
 女絡みでない戦闘、辺境警備の話であっても、チャンバラが出てくると面白く、話が引ピシッとする気がする。
 今まで書いた、長編三作には全部そのシーンがある。
 
 が、今回書いたパイロットの恋は現代のお話。
 法が金持ちと貴族だけのものだった過去ならいざ知らず(今でもそうである国はたくさんあるが)、英国という法治国家(難しく考えず、インドのような国と比べて、法治的という意味)において、暴力性をコントロールできない男はカス以外の何者でもなく、英国パイロットの殿は理性的で礼儀正しい、優しい男として、インド人の恋人を包容しようと一生懸命努めている、という場面が続くわけなんだが
 
 いかんせん ひたすら 甘い
  
 スパイスが、無い(笑)
 
 今回、推敲していて、それに気づいた。
 そうか。だから、この話は書いた自分でも、どことなく気恥ずかしいのか〜。
 うう〜ん、今からでもインド人の恋人が襲われそうにでもなって、恋人に対しては犬のように従順な彼が攻撃性に目覚めるとか、書きたくなった。違う話になっちゃうから、しないけど。
 
 何より、スパイスがないだけで、心に決めた大切な女の味方になって、衒い無く心を尽くし、躊躇いながらも理解を示し、葛藤を越えて約束した通り家族に紹介し、常に彼女を立てて(重要)あげるパイロットは、ある意味、暴力性以上に有り得ないくらい、理想的に男らしいのだ。
 一生幸せになって欲しい〜んとファンとして思わせてくれるよーな、女を愛すると言うことを識って、丁度成熟した、しかし純粋さを失っていないその愛を大切な女に注ぐ男。
 もうヤバイ。
 究極のドリームで、締まらない話だなあ〜、これ。