新興宗教じゃないッス。
 これは今までもずーっと体験してきたことなんだけど、長編小説を書き始めて「資料がいるな〜」と思いつつも調べに行かず書き続けている時、偶然、ほんとに偶然、その資料が手に入ることがある。
 
 例えば、
 
 二十三歳の時自由が丘の古本屋で吉屋信子の伝記を読み、魅せられた途端、ぶらぶら歩いていたら何十年も前の表紙の取れた女人平家の本を拾った。
 
 「男装の召使」を書いていて、頑張って探したけれど召使いの仕事の内容(特に他の王族の接待の方法等)が時間の都合もあって探し出せず、そこを抜くしかないかなー、でもパーティーとか書くのに現実味無くならないかなー、と漠然と思っていた特。
 ふと早朝起きだして新聞を見たら、その日は日曜日で日曜のみ発行の一面に、仕事の特集が組まれていて、日本が他国の王子様や王女様を迎える時に使うホテルの仕事が事細かに書かれていた。
 私は新聞を読まないし、その上父はこの日曜版の付録を読まないので、早朝でなければ捨てられて、絶対に読めなかった。
 
 「獣人」で、真夜中三時、獣人の種類や性質を考えてながら書いており、動物図鑑などを見ていた。特に豹の性質が知りたかった時、意味もなくミュージック代わりに点けっぱなしにしていたアニマルチャンネルで、突然それが流れた。しかもテレビ版を確認したら、その日だけの再放送で他の日にやらないと言うことが分かった。
 
 少し前まで書いていた「南部」で、黒人と白人の恋愛を描いていて、色々資料を集めなきゃいけないながら何もせずにいた時、FOXチャンネルを点けて置いたらボーンズがやっていた。「つまんないんだよなー、CSIのパクリだし、変えようかなー」と思いつつも流して置いたら、その回はクリスマスの回(再放送)で何と丁度「1959年、白人の男性と黒人の女性の駆け落ちの顛末」を題材にしていた。
 そのお陰で1959年アメリカでは黒人と白人の結婚や子作りは違法、フランスのみ結婚が出来たので、愛し合ったカップルはそこへ逃げることを夢見た!という事実が分かった。
 FOXの番組表は内容を記載しておらず、番組後予告もやらないので、事前に知っていた可能性はゼロ。
 
 そして現在。
 「バイロットの恋」でインド人スチュワーデスと英国人パイロットの恋を書いているが、普通にインド人の信仰や生活など分からないわけで、まあ官能だし別に良いかと思っていた時。
 一昨日、歯医者へ定期検診へ行かなくてはならなくなり、その時間潰しに読もうと思ったオーストラリア人作家の翻訳小説(古本屋で百円だったが、ずっと放置していたもの)を持っていって読んだら、そこにはマレーシアに移住したインド人の美しい男(主人公の女性が恋をする相手役)の生活、価値観、ヒンズー教の信仰などが微細に記されており、物凄く役に立ってしまった・・・・。
 
 始めは、この情報過多の日本に置いて手に入らない情報のほうが少なくて、今まで無意識に取捨していたけれど、向学意識を浮上させたせいで見えなかった情報が目にはいるようになったんだわ、と思ってた。
 
 でも、それにしては偶然が重なりすぎてるな〜、とも思ってしまう。
 別に大したことではなく、勘違いだと言われればそれまでだけど、こうも続くと何だが「そのまま書いていなさい、やってていいんだよ」って誰かに言われているような気がして、安心してしまう。
 ナニかが応援してくれてるのかなー、とか。
 いえ、神とか霊とか言う話じゃなくて、言うなれば偶然やインスピレーション。
 例えば。
 私は偶に家族麻雀をするけど、そこで一番強い父が言うには「ツイてる、と思う時がある、そんな時は直感を逃さず掴むことが大事。次にあの牌が来れば・・・って時に、賭けて切ったら来たりする」というのに良く似てる。
 
 ただし当たり前のことだけど、努力せずにぼんやり待ってたら絶対にこういうことって起きないな、とは信じられる。