「書く」SEXという行為

 官能小説を書き始められたのは、小説の中で描き出す様々な「描写」において、セックスという行為が何ら「特別なもの」ではないという観点に辿り着けたから。
 実は官能をを書き始めた「小説:王子」の時には、まだセックスは「特別」という意識が抜け切っていなかったかも知れない。何故なら、女性が乙女で、聖女だから。
 
 昔、高校生とか、二十歳くらいのときに書いていた小説でも、興味深々なお年頃ということでBLとかも含めて、たまには書いていた描写だけれど、其処には気負いと、誤解と、「特別な行為」で「おおごと」なことだ、という意識が常にあった。
 また、自分が「初めて恋に落ちて、美しい誰かに対して欲望する」ということを経験していない時点では、セックスに繋がる欲望が全然実態として掴めなかったし、そもそも相手がいないのに「描く」というのが、あんまり理解できなかった。
 だから、漫研に入っていて、腐女子達がBLバンザイな話をしていても、
「自分がシタコトもしたいとも思っていないのに、どうして喜べるんだろう?」
 とちょっと醒めてさえいた。
 
 今は、セックスをする男女を、矜持とか衒いとか、「スペシャルイベント」とかいう意識なく書ける。恋人のスペシャルイベントであるという意識はあるのだが、なんというか・・・・BLでありがちな大仰な前振りが必要である!という気持ちは、もうない。
 勿論、私の欲望の具現である訳だから、多少のズレはあるとしても、生活の一部とするのが、セックスを描くのに望ましい気がしている。
 というわけで今はようやっと、聖女からビッチへと女主人公がシフト。
 アコガレを描けるようになったのかな。
 そう思うと、随分成長したなぁ。
 というわけで、今書いている話で主人公の殿が、案外尻軽でモテる女性に恋をして、何とかベッドインにこぎつけて官能を入れる、のも楽しいわけなのだが、そうなると今度は中々官能場面にページを取れなくなってしまうアンビバレンツ。
 ・・・・書いているうちにこの境地に達したつもりでいるけれど、もしかしたら本当に「飽きてしまった」だけかも知れない。
 官能のためだけの小説!を、オリジナルが終わった今こそ書きたいのに。
 書ける日は来るんだろうか。